HIGEDARUMAです/
ハノイから夜行列車で約8時間、中国と国境を接する町、ラオカイを歩いてみました。
目次
ラオカイへ移動
朝10時頃、1泊2日のサパ観光を終えて、乗り合いのミニバスでラオカイへ向かった。
ラオカイへ行く理由は、サパからハノイへ戻るための寝台列車の発着駅(ラオカイ駅)があるからである。
この日は寝台列車の発車する21:40分までラオカイ観光をすると決めていた。
ミニバンはラオカイ駅の少し手前で停車した。まずはラオカイ駅から探索を開始することにした。
ラオカイ駅。駅の外装・内装ともに綺麗に整備されていた。「GA」とはベトナム語で「駅」を表す。
ラオカイ駅を探索
駅構内で荷物をまとめて、ラオカイ駅を探索してみた。
列車の運行本数はそれほど多くないため、乗客は全くいない。列車が発着しない時間でも自由にプラットフォームに立ち入ることができた。
ラオカイ駅のプラットフォーム。列車の到着・発車時間以外は閑散としている。
客車の運行本数は少ないが、中国との国際貿易が盛んなことから、駅の敷地面積はかなり大きい。中国の貨物列車や準備中の客車が停車していた。貨物列車の切り離し作業が行われていたのでしばらく眺めていた。
駅の敷地面積はかなり大きい。客車や貨物列車など様々な列車が停まっているので見るのも面白い。
中国の貨物列車。コンテナには「中鉄集装箱」と書かれていた。
日本とは違い、列車が来ない時間は線路の上を歩くことができる。地元の人は線路上を歩く(又は横切る)ことで近道をしているようだ。
線路上を歩くのはどうやら人だけではないようだ。
ラオカイ駅から線路の上を歩きながら北上した。
住宅地を歩く
しばらく線路上を歩いていたが、意外と疲れることがわかったので、側道の道を歩くことにした。
ラオカイ駅の北側は閑静な住宅地となっている。とても静かで東南アジアらしい活発な雰囲気は感じられない。
ラオカイ駅の北側は閑静な住宅地になっている。家のデザインも様々だ。
民家のドアは基本的に空いているところが多く、中の様子を伺うことができた。
見たところ日本の玄関・廊下と言われるような場所はなく、入口の扉を入ればそこがすぐリビングスペースになっており、そこで家族がテレビを見ていたり、会話をしていた。
とても平和な雰囲気が漂っていた。
戯れ合う犬たち。
中国語の看板が少しづつ見受けられるようになった。しかし町の雰囲気は完全にベトナムだ。中国人の姿も全然見かけない。
国境に近づくに連れて漢字の看板が見受けられるようになった。
このあたりの人は中国との貿易関係で生計を立てているのだろうか。
大通りから中国の町並みを見る
住宅街は国境付近までは直接繋がっていないため、ラオカイ駅から歩いて国境へ向かう際は必ず大通り(Nguyen Hue通り)を通ることになる。
国境に向かって左側にはソンホン川、右側には線路がある。
Nguyen Hue通り沿いにある線路。国境を越えて中国の昆明まで続いている。
ソンホン川の向こう側にはうっすらと中国の河口の町並みが見られた。
ソンホン川沿いには遊歩道が整備されている。
国境付近に到着
住宅地から大通りを経由しゆっくり歩くこと約20分、国境のイミグレーション前に到着した。
ベトナムのイミグレーションオフィス。大きくて立派だが、一般客が利用できるのは1階のイミグレーションと2階の免税店のみ。
イミグレーションの建物横からは友好橋や中国の河口の街がはっきり見え、国境に来たことを実感できた。両替商人や貿易商人の人もたくさんいた。
柵の向こう側はいわゆる保安エリア。ベトナムのゲートの向こう側に中国のゲートが見える。
団体の中国人や観光用のバスが停まっていたので、ここからサパなどの観光地へ移動するのだろうか。
友好橋のベトナム側のゲート横には小さな寺院があり、ここから橋を渡る人や中国側の町並みを間近で伺うことができる。ベトナムの領土を示す石碑もあるため記念写真も撮れる。
友好橋のベトナム側のゲート横にある小さな寺院。ベトナムで最も国境に近い寺院に違いない。
ベトナムの領土を示す石碑と友好橋。ここに来て何を感じるかは自分次第だ。
石碑の奥からは橋の様子を間近で伺える。
ここで少し話したベトナム人ガイドにラオカイの唯一の見どころとも言える「Den Thuong」という寺院を教えてもらった。イミグレーション付近から徒歩10分ほどで行けるとのことだ。
国境に掛かる鉄道橋を見学
Den Thuong寺院へ向う途中、国境の川にもう一つ橋が掛かっているのが見えた。
行ってみると鉄道の橋で、友好橋以上に近くまで近づくことができる。ポールが一本降りているだけだ。
ポールのすぐ側まで行くことができた。鉄道橋の中国側は欧米風の建造物が並んでいる。
友好橋とは違い人が横断していないため面白みはないが、橋のすぐ入り口まで行けるので臨場感が味わえる。
中国側の警備は分からないが、少なくともベトナム側の警備はそれほど厳しくないように思えた。見張りの警察ものんびりしている。
Den Thuong寺院へ向う途中の踏切のすぐ横にあり、橋のすぐ横にはベトナム領土を示す石碑もある。
鉄道橋の横にあった石碑。この辺りは閑散としており、人は誰もいなかった。
この何の変哲もない踏切のすぐ横が国境を通る鉄道橋となっている。
Den Thuong寺院へ到着
小さな山の上にある寺院で、本堂はこじんまりとしていた。地元のベトナム人がお祈りに来ていた。
地元のベトナム人が数人お祈りに来ている程度。観光客の姿は無かった。
ベトナムも仏教徒だが、日本とは祈りの仕方が違っていた。膝をつき、手を合わせながら、祈りの内容をつぶやく。祈りが終われば、膝をつきながら頭を何度が下げる。祈りが終われば、本堂を反時計回りに回り、複数ある銅像に祈りを呟きながら、お金を置いていく。
ベトナムも宗教に信仰深い国だと感じた。
東南アジアらしからぬ本堂の内部。日本にいると錯覚してしまうかもしれない。
本堂へ登る階段の横には十二支の銅像もあった。クオリティはかなりのものだ。
クオリティの高い十二支の銅像達。
寺院の入り口近辺は道や景観がかなり綺麗に整備されている。対面の中国に見せつけるためなのだろうか。
Den Thuong寺院の入り口前の道。地元のおじさんが草木の手入れをしていた。
寺院を後にし、次はいよいよ国境を渡ることにした。
イミグレーションに到着・出国審査
イミグレーションの建物は大きく立派なものの、内部はそれほど充実していない。
一階に出国審査場、二階に免税店がある。出国審査場はこじんまりとしており、作りも質素なように思えた。
イミグレーションの入り口。入り口を入るとすぐに出国審査場がある。空港と違いバスポートのチャックは無く、誰でも建物内に入れた。
前後にいるベトナム人・中国人の出国審査はすぐ終わるのに対して、外国人はかなり時間を取られる。
特にベトナムのビザについて詳しく調べられた。ベトナムは一度出国をし30日以内に再入国する際は、ビザが必要となる。
僕は河口を少し観光して、またすぐにベトナムに戻る予定だったので、日本であらかじめビザを取得していたが、それでもかなり時間が掛かった。結果的には全く問題なく、出国審査が終わった。
一つ気づいたことだが、ラオカイから河口に行くベトナム人のパスポートは通常のパスポートよりも薄く(半分くらいの薄さ)、どこか簡略化されているように思えた。河口への入出国専用のパスポートなのだろうか。
友好橋を渡る
出国審査を終えるといよいよ友好橋を渡ることができる。日本人にとっては貴重な経験で、この陸路での国境超えをするためにラオカイに立ち寄ったと行っても過言ではない。
ベトナム・ラオカイ側のゲート。フランス様式なのだろうか、大きくてお洒落だ。
シンプルな作りの中国・河口側のゲート。夜はライトアップされる。
イミグレーションの建物内は撮影禁止だが、建物の外ではベトナム側・中国側ともに写真撮影ができた。また、橋の上で立ち止ったりしても何も言われなかった。
橋では大きな荷物を運んで行き来する商人の人がたくさんいるので眺めるだけでも面白い。
友好橋の上の様子。商人のおばちゃんが、荷物の積み下ろしなどをしていた。国境の橋だが、セキュリティなどはそれほど厳しくなく自由な印象だった。
東アジアと東南アジアの境目であり、ベトナムと中国という文化や言語・法律等も異なる、さらには時差も1時間存在する。この橋を渡るだけで色々なことを考えた。
橋を渡り終えるとそこはもう中国だ。漢字の看板、密接する雑居ビル、公安等を見ると中国に来たと実感できる。
橋を渡り終えてすぐ右手にある中国の国旗。ここは紛れもなく中国だ。
建物前に集合する中国の公安。ベトナムとの温度差が感じられる。
HIGEDARUMA
河口からラオカイへ戻る
ベトナム時間の18時頃、そろそろ日が暮れそうなのでラオカイに戻ることにした。
ベトナムの日没時刻は日本に比べて1時間ほど遅い。中国の河口はプラス1時間なので日本と比べて日没が2時間遅い事になる。
中国側での出国審査を済ませ、行きと同じく友好橋を渡った。
ベトナムの入国審査を行うためにイミグレーションに行こうとしたら、この行列である。
入国審査の列が建物の外まで溢れていた
日帰りの観光や出稼ぎの人たちの帰宅(帰国)ラッシュに巻き込まれてしまった。
1時間ほど要するかと思っていたが、案外早く20分ほどで終わった。ベトナム人はIDカードのようなものだけで入国ができるようなので、その分早かったように思えた。
ここでもやはり外国人の入国審査には時間を要した。
お土産を探す
せっかくラオカイに来たので、何かそれらしいお土産を買おうと思った。
イミグレーション前に大きな商業施設があったので入ってみた。
SAPALYというホテルの1階にあった商業施設。ラオカイは店閉めの時間が早いが、ここは開いていた。
中は結構広く、色々なものが売っていたが、お土産らしいものは無かった。店員に聞いてみても無いと言われた。
スーツケースや衣類・スマホの充電コード等、中国からの観光客向けや輸入されたものが中心的に売られていた。
日が暮れていたので、他のお土産屋は既に閉まっていたのかもしれない。
夕食を取る
イミグレーションから徒歩2分程のところに食堂があったので、ここで夕食を取ることにした。
中国語の表記があり、写真と合わせることで大体何かが分かる。
漢字だけである程度の推測ができるのは日本人の中華圏旅行におけるメリットだと思う。
牛肉のチャーハンを頼んだ。おそらくパクチーが入ってると思ったので、注文時に「ノーコリアンダー」と言っておいた。
牛肉のチャーハンはかなりのボリュームだった。スープときゅうりの漬物が付いて35,000ドン(約180円)だ。
ごはんがパラパラで美味しかった。ドライオニオンも添えられていた。
スープに入ったパクチーを全て回避して飲むのに苦労した。きゅうりはお酢と和えられていた。
夜のラオカイを探索
夕食後、寝台列車の発車まで時間があったので、夜のラオカイを少し探索をすることにした。
まずは橋を渡った。ソンホン川に掛かる大きな橋だ。対岸との往来が可能で、庶民にとっては重要な橋だ。
綺麗にライトアップされている。歩道は無いため、歩いて渡る際は注意が必要。
橋の上からはラオカイと河口の夜景が見られる。建物がライトアップされており、とても綺麗だった。
特に中国側の大きなビルは綺麗にライトアップされていた。
ラオカイで一番大きいコックレウ市場は既に閉まっていた。
訪れたのは19時半ごろ。建物の面積はまるまる1ブロックありかなり大きい。
再び橋を渡り戻って来た。大通り(Nguyen Hue通り)には綺麗なイルミネーションが施されている。建物のライトアップと言い、夜のイルミネーションと言い、ベトナムの田舎街にしてはかなり景観を重視しているように思えた。
木々への装飾もバッチリだ。
住宅地を通りラオカイ駅へ
行きと同じく住宅地を通ってラオカイ駅へ戻った。大通りを通る方法もあったが、行きに通った時の雰囲気が好きになったので住宅地を通ることにした。
昼時と同様、夜もとても静かだった。街灯もたくさんあり、道は明るく照らされている。危険な雰囲気は一切感じられなかった。
歩いていて心地よいラオカイの住宅地。夜の雰囲気もまた良い。
住宅街の中にあった踏切。日本のように自動で遮断機は降りない。
この日は金曜日の夜、近所の人たちが集まり、食事会のようなものを開いていた。金曜日の夜の過ごし方は形が違うだけでどの国も同じなのかもしれない。
ご近所か親族の集会だろうか。アットホームな感じがあって良い。
河口に行って分かったことだが、街の景観や綺麗さ・雰囲気が全く異なっている。河口は建物が敷き詰められ、人が多く、街の景観も決して綺麗とは言えないが、ラオカイは基本的に一軒家の建物が多いため窮屈感は無く、人もまばらで、景観も綺麗である。何より雰囲気が落ち着いており、自由な時間がゆっくり流れているように感じた。
河口の町並み。町の市街地から離れたところでも雑居ビルが建立しており、窮屈感があった。
国境の町とは言え、徒歩で行ける範囲でここまで違いが出ていることに驚いた。
線路沿いを歩いてラオカイ駅まで戻った。夜の線路の雰囲気もなかなかよかった。
光に灯された夜の線路は幻想的。
夜のラオカイ駅に到着
途中から線路の上を歩きながらラオカイ駅へ戻った。景観は昼と変わらないが、ライトアップされていてどこか美しい。
夜のラオカイ駅。昼とはまた違った雰囲気がある。
映画のワンシーンにありそうな一枚。
駅構内の待合室には1時間後に発車する寝台列車を待つ人でいっぱいだ。欧米人の割合がかなり多く、観光客はサパからハノイへ行く人がほとんだと思う。
駅の外には売店があるので、水や食料の調達が可能だ。中国元が使えるし、中国元からベトナムドンへの両替もできるが、ボラれる可能性があるので通貨アプリを利用しながら交渉した。
駅のエントランス前はバス・バンの発着所となっている。昼は意識しなかったが、駅前にはレストランやカフェ・ホテルがあった。
列車の発車時間までレストランやカフェで休憩することも可能。