かつての南北ベトナムの軍事境界線【東南アジア一周13】

ドンハ滞在2日目。この日はレンタルバイクでDMZ(非武装地帯)周辺の戦争関連施設を観光する。まず訪れたのは「ヒエンルオン橋」という橋。ベトナムが南北に分断されていた1954年から1976年まで、南北ベトナムの国境に架けられた橋だ。

手前の黄色の柵までが南ベトナム、奥の青色の柵からは北ベトナムとなっていた。

南ベトナム側の橋の麓にあるポリスステーション跡。今では平和な空気が漂うこの場所もベトナム戦争時には緊迫した状況が続いていたことが分かる。

南北ベトナムの軍事境界線となった「ベンハイ川」。1954年のジュネーブ協定により北緯17度線が南ベトナムと北ベトナムの境界線となり、そのほとんどが17度線に位置していたベンハイ川は事実上の南北国境線となった。

ヒエンルオン橋の中間にある当時の南北境界線。かつて存在した国境線も今日では何の手続きも無く往来ができる。

ヒエンルオン橋(左)とその横に架かる新しい橋(右)。

川を渡った北側にある軍事境界線によって生き別れになってしまった家族(夫)の銅像。

南側には母子の銅像がある。

続いてヴィンモックの地下道へ移動。

エントランスの前にあったローカル食堂で昼食。ここで何か頼むと駐輪場代(5,000ドン≒29円)が無料になるとのこと。

牛肉ともやし入りのフォー。35,000ドン(≒206円)。中部の料理は辛いとフエ行きの列車の中で出会ったベトナム人に教えてもらった通り、何も加えてない最初の味付けからすでにピリ辛だった。

入場料は50,000ドン(≒294円)。当時の地下道での生活を撮影した写真が展示されていた。

錆が進んでいるものの当時使用されていた銃器を間近で見られる。

南北境界線とDMZ周辺を示した当時の地図。赤い点線内がDMZ、その真ん中にある川が軍事境界線となったベンハイ川。ヴィンモックの地下道は当時の北ベトナムに位置していた。

地下道の真上部分にぽっかりと空いた穴。これはアメリカ軍の爆撃によってできた穴。そのままの状態で残されている。

爆撃の際に使用された爆弾。

地下道への入口。入口(出口も同様)は周辺に何箇所もある。声を掛けてきたおじさん曰く、3番から入るのがベストとのことだったので、ここから地下へ入った。勝手に観光を始めて後から料金を請求されそうだったので、地下道に入る前に「自分で見て回ります」と断りを入れた。

地下道の通路。縦横共にかなり狭い。腰を曲げて歩かないと天井に頭がぶつかる。また人がすれ違うのにも一苦労するほどの横幅だ。

ヴィンモックの地下道は主にアメリカ軍からの爆撃を逃れるために住民が避難及び生活をしていた場所。通路の脇にはここで生活をしていた人の居住スペースがある。寝床や浴槽などが一定間隔で設けられている。

会議室。通常の通路のような場所にある。横幅は他の場所と比べると2倍くらいある。

地上へ上がるための階段。

DMZ観光3つ目はロックパイルという小さな岩山。1966年から1969年までアメリカ軍が軍事境界線の偵察基地として使用していた場所。ドンハの街から西へ30キロ程進んだ場所にある。

偵察基地として目立たない場所に選ばれたロックパイル。辺りには何も無く、東南アジアらしい山々と密林が広がっている。

表面から見たロックパイル。表は木々に覆われている。

4つ目はケサン基地。ロックパイルから国道を西へ30キロ進んだところにある。ベトナム戦争中アメリカ軍が設けた北ベトナムに最も近い基地。北ベトナム軍への補給路となるホーチミンルート(北ベトナムからラオスに通じるルート)の破壊を目的につくられた。

戦時中、実際に使用されていた軍用機が展示されている。

1968年1月、北ベトナム軍はこの基地の攻略を開始。ケサン基地を巡る北ベトナム軍とアメリカ軍の戦い「ケサンの戦い」が始まった。

ケサンの戦いでアメリカ軍が北ベトナム軍への攻撃に使用した「ボーイングB-52」。77日間に及ぶケサンの戦いでアメリカ軍は計1120回もの物資の空輸を行い、一時戦力比が4倍に及ぶ兵士を投入した北ベトナム軍を撤退に追い込んだ。

ケサン基地をさらに20キロ西へ進むとベトナム・ラオス国境がある。ベトナム側にはラオバオという小さな街がある。

入出国はせず国境の写真だけを撮影した。入口に職員が立っていたので、写真を撮っても良いか確認してから敷地内に入った。職員曰く、入出国手続きができるのは18時までらしい。

ベトナムへ入国するため税関手続きを行うトラック。ナンバープレートを見る限りほとんどがベトナムの車両だった。

ベトナムの入出国管理局の建物。徒歩でラオスへ渡る場合はこの建物内で出国手続きを行う。

大型のトラックが続々とベトナムに入国していく様子が伺えた。

ドンハの街までは約1時間30分。ラオバオの街で夕食を食べて帰ることにした。大通りに面した大衆食堂でチャーハンを頂いた。30,000ドン(≒178円)。大きな豚肉が2枚入ってこの値段。大きな街を離れるに連れて物価が下がっていくのを身に染みて実感した。

チャーハンだけでは物足りなかったのでMi Xaoという焼きそばを持ち帰り注文した。30,000ドン(≒178円)。ホテルに戻ってから夜食として頂いた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。